健康な高齢者さんの特徴は?

 

近年、「フレイル」という概念が注目されています。

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年齢とともに心身の活力が下がってきて、要介護状態の一歩手前の状態のことです。

前回のブログ「40歳は健康生活へのターニングポイント」でもありましたが、食事・運動・コミュニケーションを計画的に行うことが、フレイルを予防して、その先にある要介護状態にならないように、人生100年時代をいつまでも自分の歩きたいときに、歩きたい距離を 人生最後まで歩ける健康な体づくりに早い時期から取り組みたいですね。

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厚生労働省は2019年に100歳以上の高齢者が7万人を突破したと発表されていましたね。要介護・要支援認定者数も増加し659万人となっています。しかし、健康に気遣い、若々しく過ごされている高齢者さんも増えてきているのではないでしょうか。もちろん個人差はあると思いますが、毎日の生活習慣の積み重ねで、肉体的、精神的に大きな差が出てくるとされています。

 

健康的に過ごしている高齢者さんにはどのような特徴があるのでしょうか?

 

ずばり!! 食事・運動・コミュニケーション のこの3つを大切にされています。  

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人は、歳を重ねると体内の細胞数が減少し新しい細胞も作られにくく、その働きも鈍くなっていき、新陳代謝が衰え、抜け毛や白髪が増えてきて、肌の弾力が失われたり、歯が抜けやすくなったりする加齢に伴う体に変化していきます。また、身体能力も衰え、筋肉量が減少するとまっすぐな姿勢を維持しにくくなるので、高齢者さんの腰が曲がりやすくなるようです。また呼吸機能や循環機能、消化・吸収機能など、あらゆる内臓機能も衰えてしまいます。

重要なのはこれらひとつひとつの機能の低下は密接に関係しあっていることです。

たとえば、消化機能が低下すると ⇒ 食欲がなくなり ⇒ 動かなくなり ⇒ 体力がなくなり ⇒ 無気力になる

 

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日々の食事内容によって老化のスピードは変わってくるようです。悪玉物質が大量に含まれ、老化の大敵とされているAGE(終末糖化産物)は体内を酸化・糖化させ、さびつかせてしまうそうです。特に唐揚げやフライドポテトなどの揚げ物には多くのAGEが含まれていると言われていますが、みなさん大好きなメニューのひとつなので、食べてはいけないではなく、バランスがとれるようなメニューに工夫すれば、食事も楽しくなるはずです。酸化・糖化をおさえてくれる食品としては鮭や鶏肉、納豆や豆腐などの大豆製品があげられます。揚げたり焼いたりするとAGEが増えてしまうので、ゆでる、煮るなどして調理方法にも工夫をするのも良いかもしれません。体に良いとされる食物を中心にバランスよくメニューを考えることで、老化の進行速度を落とせるかもしれません。また、量がたくさん食べられない方は、柔らかめに煮たり、細かくきざんだり、サプリメントで不足される栄養素の摂取も良いのではないでしょうか。

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近年、高齢者さんもお元気な方が多くなり、ご自分でスーパーさんやコンビニさんに買い物に行かれる方をよく見かけます。以前はスーパーさんでは、家族用などの量が多い惣菜のパックが陳列されていましたが、近年は個食に対応された量が少ない、多品種の惣菜が多く並んでいます。コンビニさんでは、1人前のレトルト商品や冷凍商品が充実されていますね。安価な理由もありますが、自分の好きなものが好きなときに食べれてしまいます。宅配をしていると、お弁当は食べられず、惣菜パンや菓子パンを食べられている高齢者さんを見かけます。お弁当は必ずしも好きなものが入っているとは限りません。しかし食事のバランスを考えた献立になっています。「1食だけバランスの良い弁当を食べて、あとの2食は好きなものを食べているから意味が無い」と言われる方もいらっしゃいます。しかし、1食でもバランスの良い食事をしていただくことで、食生活の改善のお役に立てると思っています。好き嫌いではなく、健康寿命を長くするためにバランス弁当を食べていただきたいです。

 

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若い方でも運動を習慣にしている方は多くはないと思います。少しでもしんどさを感じてしまうと、運動を避けたり、先送りしたりするようになりますよね。運動しなければ身体機能や筋肉量・筋力も低下し、さらに食欲がなくなります。この悪循環のループにはまることが、老化の進行の原因にもなります。長時間のハードな運動スケジュールを組む必要はありません。1日30分程度のウォーキングやラジオ体操、ストレッチ、水泳などルーティーンになりやすい運動を取り入れることで、血行改善や食欲増進などの効果が期待できます。ポイントは習慣にできる運動方法です。頭では運動をしたほうが良いと判っているかたは多いのではないでしょうか。気軽に無理なく続けられる運動を高齢者さんひとりひとりに合った内容で行い、最初は10分から、慣れてきたら15分、20分とステップアップするなども良いのではないでしょうか。すると食欲も出て、夜もぐっすり眠れる健康的な生活習慣が出来ると思います。

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高齢者さんの老化は脳にも表れ、記憶力や集中力が低下し、物忘れが多くなるのは最もわかりやすい症状です。また、退職してからの目標や計画が無い方は、環境の変化に対応できなくなったり、身内や友人との交流をなくすなどで、孤独感を覚えた高齢者さんは社会との距離を置き、人とのコミュニケーションに消極的になってしまうようです。近年増加している、身体的な病気以外の老人性うつがよく言われてきています。。精神の老化に起因することが多いとされ、自分自身のことに無頓着になり、健康づくりにも無関心になる、つまり、精神の老化が、肉体の老化にもつながっていくようです。

「高齢だからもう学ぶことはない」ではなく、生涯学習の気持ちで、スマホでインターネットや映画を観たり、本を読んだり、聴いたり、グーグルマップで世界一周旅行をしたり、今までにやったことが無いことをすることで、知識や経験が脳への良い刺激になると思います。私の祖母は毎日トランプでソリティアをしたり、大相撲の番付に白星や黒星を記録していましたね。とても健康寿命は長かったと思います。

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社会的参加を促す内閣府が2017年度に行った「高齢者の健康に関する調査」によると、「健康状態が良い」と答えた人のほうが、「良くない」と答えた人よりも外出や会話頻度が高く、社会的活動に参加している人も多いことがわかりました。高齢者の数が増えていく中で、若者の数は減少の一途をたどっており、これからの日本の介護現場は人手不足で深刻化な状況になりつつあると思います。

冒頭にもありました、要介護になってから介護をするのではなく、一人でも多くの高齢者さんに、「フレイル」の状態から介護いらずの健康な状態でいてもらうために、私たちが率先して健康づくりをうながし、食生活や運動習慣、社会参加の大切さに気付いてもらうことで、介護の現場への負担軽減に繋がるのではないでしょうか。